山咲博昭の活動記録 -大学職員の学習ポートフォリオ-

27歳の誕生日を機に日々の学習記録をブログを始めました。大学院や勉強会等での学びによる気づきを記録していきます。 また、たまに勉強会・交流会とのイベントの案内も行っていきます。 twitter:@hysaki

【振り返り】2018年度春学期に受講した履修科目について

ここ数回はずっと機関別認証評価に関係することを書いてきましたので、ここらで少し閑話休題ということで同志社大学大学院の2018年度春学期受講科目についてご紹介したいと思います。入学式から懇親会に至るまでのエピソードは以下の記事を御覧ください。

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春学期履修科目一覧

  1. リサーチ・デザイン特講(月曜6限)
  2. 量的分析特講(集中講義:土曜日月1回)
  3. 人とイノベーション特別研究(水曜7限)
  4. ソーシャル・ネットワーク特別研究(月曜7限)
  5. 公共政策特殊研究(研究指導科目)(時間割設定なし・月2回程度)

以上の科目を履修していました。ただし、研究指導科目については単位設定等はなく、通年科目なので成績評価はなされていません。

 

修了要件の充足に向けて

春学期の科目は無事にすべて単位修得できました。けど、あくまで単位修得でなく、そこで何を学んでどう活かせているか、が大事になるかと思います。また博士後期課程の場合は、きちんと研究者として独り立ちできる力を身につけることが1番のゴールかと思いますので、それに向けて頑張りたいと思います。そのゴールに向けて、修了要件を満たさないといけないのですが、満たすためのプロセスを整理すると以下の通りになるのではないでしょうか(研究の具体的内容は除く)。

  1. 博士論文の提出要件を満たす必要がある
  2. 2年次の博士論文資格論文の提出に向けて取り組まねばならない
  3. 2年次の「共同演習」の履修をしなければならない
  4. 1年次の研究発表会(2019年3月)に向けて準備をしなければならない
  5. 1年次秋学期に、不足している自専攻の1科目、英語開講科目ないしは英語文献研究科目を1単位修得しなければならない←近々の課題です。。。

秋学期に向けて

ちょうどもうすぐ秋学期が始まることもあり、どのような科目を履修するか悩んでいるんですよね。あと、今日春学期の成績発表もありました。その状況を踏まえつつ履修するのですが、取りたい科目が多くて非常に履修を決めるのが悩ましいです。かといって、取りたいものを取りすぎるとキャパオーバーになるのは目に見えているし、ほぼ毎日通うような時間割になってしまうので悩ましいです。。。決定まで時間があるので、少し考えます。

【第3機関別認証評価】大学基準協会主催 大学評価実務説明会から見る第3期機関別認証評価について④

さて、このシリーズも今回で第4回目になります。

ここ数日連続で更新していることもあり、そろそろきちんとシリーズとして認識いただけているかと思います。今までの第1回から第3回の内容は以下からご覧いただけます。

hiroaki1214.hatenablog.com

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前回のブログでは、「大学基準(及びその解説)」、「点検・評価項目」、「評価の視点」、「評価者の観点」の概要について簡単に説明してきました。今回は予告通り、評価結果を左右する基準、指針の一つでもある「判定及び判定保留の基準とその運用指針」、「基礎要件に係る指針」について説明していきたいと思います。

大学評価結果

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 さて、前回のおさらいにもなるかもしれませんが、以上の図式の通り、これらの基準や視点などがベースとなり、「大学評価結果」が構成されます。繰り返しになりますが、変更できないものとして10つの「大学基準」があり、その下に「点検・評価項目」がある訳ですから、この「点検・評価項目」をベースにした評価が第3期では行われている、といっても過言じゃないでしょう。

 

「大学評価結果」との関係性

では、今回の本題の「判定及び判定保留の規準とその運用指針」や「基礎要件に係る評価の指針」と、「大学評価結果」との関係性はどのようなものでしょうか。

これは私の独自解釈になるのかもしれませんが、以下に図示しているような関係性が「大学評価結果」にはあると考察します。 

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「基礎要件に係る評価の指針」と「基礎要件確認シート」

まずは第1段階として、「基礎要件確認シート」が評価の対象になります。これは「基礎要件に係る評価の指針」にもあるように、一定の状態を満たしていなければ「改善課題」「是正勧告」を付すというものです。この一定の状態については、各大学の状況によって弾力的な運用がなされますが、基本的には、この「指針」をベースに指摘されると考えていても問題ないかと思います。

つまり、明確な「指針」に基づき、あらかじめどのような指摘がなされるかがわかるとも言えます。

 

「判定及び判定保留の基準とその運用指針」

先ほどの「基礎要件に係る評価の指針」は、どのような状態にあれば「改善課題」「是正勧告」が付されることがわかるものでしたが、今回の「判定及び判定保留の基準とその運用指針」は、大学評価結果の大元である「適合」「保留」「不適合」の判断基準になるものあり、その運用指針でもあります。

この基準と指針に沿って「保留」「不適合」になる状態が明らかになります。主としてどのような「改善課題」「是正勧告」があるか、またその大学の状態によって総合的判断されます。しかし、「改善課題」「是正勧告」の一定の状態によって「保留」「不適合」の俎上に乗るかどうかの判断できますので、こちらの基準と指針を踏まえることは大切なことだと言えます。

 

次回予告

これまでは第3期機関別認証評価の基準や視点、また「適合」「保留」「不適合」などの判定基準について説明してきました。本シリーズの次回以降は各基準の読み解きや、第3期機関別認証評価で求められる内部質保証の在り方について触れていきたいと思います。ここまでの更新を早足でやりましたので、ここからは緩やかに更新していきます。

 

 

【第3機関別認証評価】大学基準協会主催 大学評価実務説明会から見る第3期機関別認証評価について③

シリーズ化して1年間に1回の頻度で更新されていると勘違いされても困ると思い、早速シリーズ第3弾を更新させていただきます。第1回、第2回は以下のリンクからご覧いただけます。

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さて、前回の最後に、「「提言」の中でも「改善課題」「是正勧告」は、いくつかの法的根拠や大学基準協会が定める指針に基づき指摘されることになっています。次回はどのような法的根拠や指針が定められているかについて説明していきます。」と予告しました。

今回は予告通り、指摘事項である「改善課題」「是正勧告」がどのような法的根拠、指針に基づいて指摘されているのかお話ししたいと思いますが、結構な分量になりますので今回から数回に分けて説明を行いたいと思います。

といっても私は評価者でも何でもありませんので、大学基準協会が公開している情報から考察していきたいと思います。

 

大学基準協会の定める評価基準等

 まず、大学基準協会が定める評価基準やその他の視点、指針等がどのようになっているか説明します。 以下は大学基準協会HPに掲載されている第3期期間別認証評価の評価基準等がまとめられているページになります。

www.juaa.or.jp

以上の内容のうち、各大学を評価する大元の基準の構成を整理すると、以下の図のようになります(以下の図は大学基準協会HPの説明に基づき筆者作成)。

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「大学基準」及びその解説

いわば機関別認証評価における評価基準の「憲法」的な存在になります。

各基準ごとに評価基準が大綱的に示されているものの、具体的評価を行うには一定の具現化が必要であるため、「解説」が「『大学基準』及びその解説」として示されています。その解説を基にして作成されたものが次の「点検・評価項目」になります。

 

点検・評価項目

機関別認証評価の受審時の項目のうち、「変更してはいけないもの」として設定されているのは、基準1~基準10まである「大学基準」とその下に定められている、この「点検・評価項目」になります。この「点検・評価項目」には特徴があります。

例えば、基準1 理念・目的の点検・評価項目①は「大学の理念・目的を適切に設定しているか。また、それを踏まえ、学部・研究科の目的を適切に設定しているか。」となっており、点検・評価に「○○ができているか」と尋ねるような表現になっています。

この問いかけられた質問に対して、各大学において点検・評価を行い、その結果を適切に回答としてまとめることが認証評価に向けた自己点検・評価では求められているといってもいいでしょう。しかし、回答を作ることだけが自己点検・評価や認証評価の目的ではなく、内部質保証システムを機能させて改善に努めることが大学基準協会の求めていることだと思いますので、その点についてご留意いただければと思います。

「評価の視点」と「評価者の観点」

評価を受ける側の「評価の視点」と、評価をする側の「評価者の観点」の両方を並記しました。その理由としては、これらは「点検・評価項目」を踏まえて作成されているものだからです。

「評価の視点」はあくまで参考事例とされています。その理由としては、自己点検を行う「評価の視点」は大学の組織や文化、取組によって異なるからです。そのため、それぞれの大学の実情に沿った「評価の視点」を入れ込んだりするなど、カスタマイズすることが可能とされています。

一方、「評価者の観点」も点検・評価項目ごとに定められていますが、それぞれの項目に対して明確な観点が定められていることもあり、「評価の視点」がいくらカスタマイズ可能としても、この「評価者の観点」から外れた過ぎた点検・評価を行うと、評価者が評価しづらくなるので注意が必要かもしれません。

まとめと次回予告

ここまでは、「大学基準(及びその解説)」、「点検・評価項目」、「評価の視点」、「評価者の観点」の概要について簡単に説明してきました。次回は評価結果を左右する基準の一つでもある「判定及び判定保留の基準とその運用指針」、「基礎要件に係る指針」について説明していきたいと思います。

【ご報告】同志社大学大学院総合政策科学研究科への入学

こちらでのご報告が遅くなりましたが、2018年4月から同志社大学大学院総合政策科学研究科の博士後期課程に入学しました。入学後約半年が経過しましたので、何回かに分けて2018年度春学期の振り返りを簡単にしたいと思います。今回は第1弾として「入学式」を主なテーマとして書いていこうと思います。

 

入学式

思い返せば修士課程の時は「オリエンテーション」は受けたものの、入学式は平日ということもあり出席できませんでした。今回が大学院の入学式に初めて出席するという経験になりました(なお、修了時の学位記授与式は出席はできました)。

入学した同志社大学は「キリスト教主義」の大学ですので、厳かな雰囲気の入学式でした。また、会場も趣があり、ある意味、無宗教の大学では出せない雰囲気の空間であったように感じます(学部時代は無宗教の大学でしたので)。

それにしても大半が「学部卒業後⇒博士前期課程」、「博士前期課程⇒博士後期課程」へのストレートでの進学者が多いためか、皆さんすごく若いように感じました…。少し場違い感を感じながらも、ある種の学生気分を味わうことができました。

 

オリエンテーション

入学式後は各研究科に分かれてのオリエンテーションでした。

我が総合政策科学研究科は、「志高館」という政策学部や総合政策科学研究科、グローバル・スタディーズ研究科が主として使用する学舎で主に授業が行われますので、そこでのオリエンテーションでした。部屋に入ると、「若さ溢れる雰囲気」から、幅広い年齢層の社会人学生の皆さんがいたため「落ち着いた雰囲気」に変わって少しホッとしました。

さて、オリエンテーションでは、「履修の手引き」に従って、研究科案内、履修登録などの制度に関する説明、博士後期課程における学位取得までのスケジュールが行われました。簡単にまとめると、①必要所要単位を修得しなければ修了できないこと、②各年次に関門があり、そのハードルをクリアしないと修了できないこと、③博士論文提出要件を満たさなければ博士論文を提出できないこと、が主に強調されて説明されていました。

特に、入学前に調査済ですが、本研究科の博士後期課程はコースワークがしっかりしています。これは別の振り返りで書こうと思いますが、前期課程、後期課程が合同授業で実施されてるため、選択できる科目数が多いこと、授業での活発なディスカッションができること、が印象的でした。その他、選択必修科目として、「リサーチデザイン」「量的分析」「質的分析」の内、1科目を修得しないといけないことは、他大学院からの進学や他研究科からの進学者も少数ですがいるので、すごくいいカリキュラム構成だなというのが個人的な感想です。

 

懇親会

入学式、オリエンテーションが終わり、前期課程、後期課程合同の懇親会が行われました。私のような他大学院からの進学者にとっては非常にありがたい場で同じように内部進学でない人と知り合うことができ、同期の研究仲間と出会えたのは非常に良い機会でした。懇親会終了後、すぐに切り替えて春学期の履修相談を指導教員と行い、それからの半年の計画を決めていきました。

 

最後に

2018年度の履修科目の内容と、その感想について簡単に触れていきたいと思います。

なお、最後になりますが、研究内容は修士課程時代とあまり変わらず、「大学職員の人材育成」が研究テーマのキーワードになります。入学してから半年が経過しましたが、これから学んで還元できるよう頑張っていきたいと思いますので、皆さま、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

【第3機関別認証評価】大学基準協会主催 大学評価実務説明会から見る第3期機関別認証評価について②

以下のブログを更新してから約1年半経過しました。

hiroaki1214.hatenablog.com

シリーズ化すると言っておきながら、更新できずに申し訳ありませんでした。

「大学評価結果(分科会案)」の送付時期(第2期と変更なし)

2018年度も中盤に差し掛かり、大学基準協会における第3期機関別認証評価も書面評価が進み、実地調査が間近になってきた頃でしょうか。

実地調査は、原則として大学の本部が置かれているキャンパスを対象とし、9月下旬(夏期休暇終了後)から 10 月下旬までの連続する2日間に行います。

引用元 大学基準協会発刊『大学評価ハンドブック』39頁(2018年4月改訂)

また、各大学に対して「大学評価結果(分科会案)」が届く時期でもあります。

 実地調査の実施5週間前までに「大学評価結果(分科会案)」と実地調査当日のスケジュール(案)を送付します。これをもとに以下の資料を作成し、実地調査実施日の 10 日前までに本協会に提出してください。

 引用元 大学基準協会発刊『大学評価ハンドブック』41頁(2018年4月改訂)

つまり、上の2つから整理を行うと、9月下旬に実地調査がある大学からすると「大学評価結果(分科会案)」が届くのは8月中旬に、10月下旬に実地調査のある大学は9月下旬に届くことになります。届いたとき、どのような指摘がなされているか、といった「提言」と呼ばれる箇所に着目される方が多いかと思います(その次に「評定」→「質問事項」→「総評・概評」といった順にみられるでしょうか)。

今回のブログでは、第2期から第3期に移行するにあたり、「提言」の名称や取扱いにどのような変更があったのか、簡単に説明していきます。

「提言」の取り扱い(第2期から変更あり)

 第2期から第3期にかけて変化したのは、以下の表の通り、①名称、②改善義務の変化といったところになります。なお、豆知識として、名称は第1期から第2期においても変化しています。

第2期

 

第3期

努力課題

改善義務なし

改善課題

改善義務あり

改善勧告

改善義務あり

是正勧告

改善義務あり

第3期における「改善課題」に相当する「努力課題」は、「改善報告書」の提出時における改善義務が「なし※」から「あり」に変更されています。

(※改善するかどうかは各大学の判断に委ねられるが、改善が必要ないと判断した際には大学といての見解を示す必要があります。)

そのため、「提言」の中でも改善義務のある両者(「改善課題」「是正勧告」)については注意して確認する必要があるでしょう。

次回予告

「提言」の中でも「改善課題」「是正勧告」は、いくつかの法的根拠や大学基準協会が定める指針に基づき指摘されることになっています。次回はどのような法的根拠や指針が定められているかについて説明していきます。

 

【感想】「第1回大学職員のための(I)Rゼミナール」(広島大学高等教育研究開発センター主催)を受講して

一昨日(9/8)、標題のRゼミナールに参加してきました。

この企画運営で携われている松宮さんのブログでの案内を見て、すぐに応募して何とか定員内に滑り込むことができました。先に感想を書きますが、次回もぜひ開催されれば参加したいなって感じた企画でした。

shinnji28.hatenablog.com

 

使用したツール(インストールしたツール)

 

受講しての感想

  • 可視化するBIツール「Power BI」「Tableau」など色々なソフトウェアが流通していますが、今回使用した「Exploratory」の驚くぐらいの利便性、操作性の高さは印象的でした(フリー使用できるのは教育機関に限られるとのことです)。

  • ただし、やはりIRを進めていくにあたり、BIツールによる可視化の前に、データハンドリング、データクリーニングなどがまず必要だなと改めて実感しました。

  • あと当たり前かもしれませんが、IRのうち、全数回答がなされない学生調査は一定の統計的検定結果は必要だが、悉皆的に分析できる学生情報そのものは統計的検定結果は必要ない、ということは印象的でした。
  • 今回の「Exploratory」は、統計的検定結果まではでないとのことですが、先ほどの後者についてであれば、データクリーニングができて流し込めれば、簡単にサマリーとして結果が可視化されて示されるので便利だなと感じました。

 

【雑感】「箱根駅伝と大学」(連続テーマ:大学の車内広告について考える①)

twitterではここ2日間久々につぶやいておりましたが、大阪ー東京間を青春18きっぷで往復する旅に出ておりました(初日は名古屋までワープしましたが…)。また、東京からそのまま群馬県の高崎まで足を延ばしました。まだ、絶賛、旅の途中(静岡ー米原間の車内)ですが、受験シーズン到来間近ということもあり、移動中の車内には「大学の車内広告」が多く掲載されていました。

そこで今回から数回に分けて、「大学の車内広告」について考えていきます。その第1弾として今回は「箱根駅伝と大学」と銘打って考察していきたいと思います。

 

 

1 箱根駅伝の概要と歴史、出場対象校

いわずと知れた正月の一大イベント「箱根駅伝」が年明け1月2日、3日に開催されます。今年の開催要項や出場校は以下のリンクからご確認ください。

箱根駅伝公式Webサイト

そもそも箱根駅伝とは、どういったもので、どこまでの地域の大学を対象にしていたのでしょうか。公式サイトの「箱根駅伝公式Webサイト|箱根駅伝の概要と歴史」を見てみると次のようなことが書かれています。

関東学連加盟大学のうち、前年大会でシード権を獲得した10校と、予選会を通過した10校、および関東学生連合を加えた合計21チームが出場。東京・読売新聞社前~箱根・芦ノ湖間を往路5区間(107.5Km)、復路5区間(109.6Km)の合計10区間(217.1Km)で競う、学生長距離界最大の駅伝競走である。

 箱根駅伝(正式名称:東京箱根間往復大学駅伝競走)は、

①「関東学連加盟大学」でないと参加資格がない。

②「学生長距離界最大の駅伝競走」である。

といったことがわかります。

 

それでは、箱根駅伝はどういった経緯で開催されるようになったのでしょうか。

こちらも公式サイトの「箱根駅伝公式Webサイト|箱根駅伝の概要と歴史」から引用させていただきました。

箱根駅伝が誕生したのは、1920年(大正9)、今から90年も前のことである。創設の原動力になったのは、マラソンの父として知られる金栗四三らの「世界に通用するランナーを育成したい」との思いだった。
1917年(大正6)に日本で初めての駅伝となる「東京奠都五十年奉祝・東海道駅伝徒歩競走」が、京都三条大橋と東京・上野不忍池間で行われた。
読売新聞社が上野で開く大博覧会の協賛イベントとして企画したもので、京都―東京516キロを23区間に分け、三日間、昼夜兼行で走り継ぐ壮大なたすきリレーだ。
東西対抗で行われたレースは、大成功を収め、これが箱根駅伝の”原型”となった。

まず、日本で最初の駅伝が「京都ー東京間」を三日間昼夜兼行で走り継ぐもの、とされていますが、想像を絶する壮大さですね。走り継ぐにしろ、なかなかハードであること、また、最終的な結果を知るにしても現代のようにメールやネットは発展していませんから、結果を知るのにも時間がかかったと思われます(当時は電話があったので、それで結果を知れたのだと思いますが…)

そして、次のように続きます。

東海道駅伝」の成功に意を強くした金栗らは、大学や師範学校、専門学校に箱根駅伝創設の意義を説いて参加を呼びかけ、早大、慶大、明大、東京高師(現筑波大)の四校が応じたというのが、創設のいきさつである。

まずは4大学から開始し、「箱根駅伝」が創設されます。

ここから関東圏の大学に広がっていった訳ですね。ちなみにトリビアとして、過去に関東以外の大学も出場したことがあります。参照したのは「箱根駅伝の記録一覧 - Wikipedia」です。その大学とは、「関西大学」、「立命館大学」、「福岡大学」です。 「関西大学」は戦前に3回特別招待校(第9回、第12回、第13回大会)として1928年(第9回大会)、1931年(第12回大会)、1932年(第13回大会)出場しています。

一方、「立命館大学」、「福岡大学」は、1964年(第40回大会)に招待校として出場しています。「大学」として出場したのはこれだけになりますが、「日本学連選抜」として、2004年(第80回大会)に出場した記録があります。しかし、基本的には関東学連所属大学以外には門戸が開かれていないのが実情です。

 

2 箱根駅伝と「大学名の認知度向上」

箱根駅伝」は全国ネットでテレビ中継もされ、正月の風物詩となっています。そうした「箱根駅伝」は、JR東海道線内の車内広告でも大々的に広告が掲示されていました。 以下の写真は、東海道線高崎線(熱海ー高崎間)に乗車した際に撮影したものです。 

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東海道線車内で撮影(2017年12月29日撮影)

入試直前で出願も始まるこの時期に、全国ネットで大学名が連呼され、事前広告として大学名がこのように掲載され、周知されることは「大学名の認知度」を上げるにあたり絶大な効果があるでしょう。

しかし、あくまで「大学名の認知度向上=志願者増」とはならないでしょう。それは、2018年の受験生は既に受験校を絞っており、直結するわけではないのです。しかし、これから受験を考える高校2年生、1年生にとっては「大学名」を知ることが、その大学に興味を持つきっかけになり得るとも考えられます。その観点から考えると、「箱根駅伝」に出場した次の年の志願者数に影響が及ばされることもあり得ります。直接的な要因としてどのような効果を与えているか調査するのは難しいかもしれないですが、間接要因としてどのような影響を及ぼすのか調査しても面白いかもしれません(その年の18歳人口も踏まえての検討が必要かと思いますが…)。

 

3 箱根駅伝と「大学」

個々の大学に対する効果という観点では、「大学の認知度向上」もありますが、「箱根駅伝」出場校としての贔屓にする「大学」が出てくることも考えられます。

これは、単純に志願者増だけでなく、OB・OG以外の方々からの寄附金に繋げることも一案として考えられるのではないでしょうか。そういった卒業生以外の方から寄附を考える際にも検討材料として使えそうです(お金の話ですみません)。

一種の興業化になるため、学生スポーツとしては大々的に個々の学生の軸にしたイベントを企画するのは難しいかもしれませんが、既存の大学関係者以外の方にも大学を知ってもらい、贔屓してもらう機会としては一つ考えられる方法ではないでしょうか。

こういった広告が大々的にJR車内に出るのは羨ましいです。(以下の写真は「東洋大学」さんです)

 

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東海道線車内で撮影(2017年12月28日撮影)

 4 最後に

ここまで、「箱根駅伝」と「大学」について考察してきました。「3 箱根駅伝と『大学』」ではスポーツを通じた大学の認知度向上の贔屓校づくりについて述べましたが、今年(2017年)9月14日公表の「大学スポーツ振興の推進事業」では、以下のように大学スポーツを通じた大学振興を推進しています。

 スポーツ庁は、スポーツ基本計画に基づき、大学におけるスポーツ分野を戦略的かつ一体的に管理・統括する部局の設置や人材の配置を支援し、大学スポーツの活性化や大学スポーツを通じた大学全体の振興を図るための体制整備に取り組んでいます。
 今般、大学スポーツ・アドミニストレーターの配置等大学におけるスポーツ活動を支援する「大学スポーツ振興の推進事業」に応募のあった提案について、有識者からなる技術審査委員会による審査の結果、8大学を選定しました。概要は以下別添のとおりです。

今回は8大学が選定されています。「箱根駅伝」などの国内レベルでなく、2020年の「東京五輪」などを代表する世界的なスポーツイベントに選手を輩出できるか、も視野に含まれた取組だと考えられます。

このような「スポーツ」を通じた「大学の認知度向上」は、少子化などの「2018年問題」にも多少なりとも影響することだと考えられますので、「スポーツと大学」の関係性に着目して調査するのも面白いかもしれません。

なお、IDE大学協会が発刊している『IDE-現代の高等教育』の2017年7月号(vol.592)では、「大学とスポーツ」と題して特集が組まれておりました。こちらの話に興味のある方は一読してはいかがでしょうか。

 

次回は、「大学の車内広告について考える②」として、車内広告の打ち出し方について考察していきたいと思います。