【第3機関別認証評価】大学基準協会主催 大学評価実務説明会から見る第3期機関別認証評価について③
シリーズ化して1年間に1回の頻度で更新されていると勘違いされても困ると思い、早速シリーズ第3弾を更新させていただきます。第1回、第2回は以下のリンクからご覧いただけます。
さて、前回の最後に、「「提言」の中でも「改善課題」「是正勧告」は、いくつかの法的根拠や大学基準協会が定める指針に基づき指摘されることになっています。次回はどのような法的根拠や指針が定められているかについて説明していきます。」と予告しました。
今回は予告通り、指摘事項である「改善課題」「是正勧告」がどのような法的根拠、指針に基づいて指摘されているのかお話ししたいと思いますが、結構な分量になりますので今回から数回に分けて説明を行いたいと思います。
といっても私は評価者でも何でもありませんので、大学基準協会が公開している情報から考察していきたいと思います。
大学基準協会の定める評価基準等
まず、大学基準協会が定める評価基準やその他の視点、指針等がどのようになっているか説明します。 以下は大学基準協会HPに掲載されている第3期期間別認証評価の評価基準等がまとめられているページになります。
以上の内容のうち、各大学を評価する大元の基準の構成を整理すると、以下の図のようになります(以下の図は大学基準協会HPの説明に基づき筆者作成)。
「大学基準」及びその解説
いわば機関別認証評価における評価基準の「憲法」的な存在になります。
各基準ごとに評価基準が大綱的に示されているものの、具体的評価を行うには一定の具現化が必要であるため、「解説」が「『大学基準』及びその解説」として示されています。その解説を基にして作成されたものが次の「点検・評価項目」になります。
点検・評価項目
機関別認証評価の受審時の項目のうち、「変更してはいけないもの」として設定されているのは、基準1~基準10まである「大学基準」とその下に定められている、この「点検・評価項目」になります。この「点検・評価項目」には特徴があります。
例えば、基準1 理念・目的の点検・評価項目①は「大学の理念・目的を適切に設定しているか。また、それを踏まえ、学部・研究科の目的を適切に設定しているか。」となっており、点検・評価に「○○ができているか」と尋ねるような表現になっています。
この問いかけられた質問に対して、各大学において点検・評価を行い、その結果を適切に回答としてまとめることが認証評価に向けた自己点検・評価では求められているといってもいいでしょう。しかし、回答を作ることだけが自己点検・評価や認証評価の目的ではなく、内部質保証システムを機能させて改善に努めることが大学基準協会の求めていることだと思いますので、その点についてご留意いただければと思います。
「評価の視点」と「評価者の観点」
評価を受ける側の「評価の視点」と、評価をする側の「評価者の観点」の両方を並記しました。その理由としては、これらは「点検・評価項目」を踏まえて作成されているものだからです。
「評価の視点」はあくまで参考事例とされています。その理由としては、自己点検を行う「評価の視点」は大学の組織や文化、取組によって異なるからです。そのため、それぞれの大学の実情に沿った「評価の視点」を入れ込んだりするなど、カスタマイズすることが可能とされています。
一方、「評価者の観点」も点検・評価項目ごとに定められていますが、それぞれの項目に対して明確な観点が定められていることもあり、「評価の視点」がいくらカスタマイズ可能としても、この「評価者の観点」から外れた過ぎた点検・評価を行うと、評価者が評価しづらくなるので注意が必要かもしれません。
まとめと次回予告
ここまでは、「大学基準(及びその解説)」、「点検・評価項目」、「評価の視点」、「評価者の観点」の概要について簡単に説明してきました。次回は評価結果を左右する基準の一つでもある「判定及び判定保留の基準とその運用指針」、「基礎要件に係る指針」について説明していきたいと思います。