山咲博昭の活動記録 -大学職員の学習ポートフォリオ-

27歳の誕生日を機に日々の学習記録をブログを始めました。大学院や勉強会等での学びによる気づきを記録していきます。 また、たまに勉強会・交流会とのイベントの案内も行っていきます。 twitter:@hysaki

【私論】学部から大学院への「移行問題」について①

学部における初年次教育

だいたい10年程前のお話ですが、私が学部生だった頃、学部の「初年次教育」について話題になっていました。時を同じくして、「初年次教育学会」(2007年12月)が発足し、2008年12月24日に中央教育審議会「学士課程教育の構築に向けて(審議まとめ)」においても言及されるなど、当時注目されていたキーワードの一つでもありました。初年次教育は以下のように定義されています。

高校からの円滑な移行をはかり、学習及び人格的な成長の実現にむけて大学での学問を“成功”させるべく、主に大学新入生を対象に総合的につくられた教育プログラムのこと

濱名篤(2004)「ユニバーサル高等教育における導入教育と学習支援に関する研究」文部科学省科学研究費補助金研究成果報告書 

 このように話題になった「初年次教育」は全国に広まり、どの大学においてもアカデミックスキルを初年次に定着させ、「ピア・サポート」などの活動を通じて学生の居場所をも作るような機会が提供されるようになりました。

しかし、一方で「学部」と「大学院」での学びの格差は広がりつつあると考えます。

 

大学院「移行」問題

高等教育政策では社会人学び直しの観点で大学院への入学を推進する取組がなされています。ただし、ただただニーズのある学びを提供したからといって、いきなり大学院に進学するのは心理的にハードルが高いと考えます。それはなぜかと言いますと、「修了要件である修士論文がかけるのか?」という不安を拭いきれないからです。

学部での学びをそのまま生かして研究できるのは、いわゆるストレートマスターと呼ばれる、学部卒業後、大学院に進学するような方々ではないでしょうか。

こういった背景を踏まえて、私は社会人大学院生における「大学院移行」問題があると考えます。この問題の解決について、数回に分けて本ブログで考察していこうと思います。