山咲博昭の活動記録 -大学職員の学習ポートフォリオ-

27歳の誕生日を機に日々の学習記録をブログを始めました。大学院や勉強会等での学びによる気づきを記録していきます。 また、たまに勉強会・交流会とのイベントの案内も行っていきます。 twitter:@hysaki

【2017.2.9】関西大学・大阪府立大学AP合同フォーラム③

さて、フォーラムのシリーズ、第三弾の大阪府立大学の事例報告です。

大阪府立大学の事例報告の特徴としては、教学データに関するシステム、各部局へ共有する体制の構築、今抱えている検討事項の紹介が挙げられます。特に検討事項については、どの大学の方も悩まれている点ではないでしょうか。

 

 ・教学データに関するシステム

学生に関して、入試結果や学籍異動、課外活動、成績データ、進路情報などの各種データを一貫したデータベースで管理されており、eポートフォリオやLMS、出席管理システムとデータ連携されている点に特徴があります。

しかし、課題点として、学生調査(一年生、上級生、卒業予定者、修了予定者、卒業生を対象としたもの)と現在は連携していない点やシステムの活用が不十分であることが挙げられていました。

 

・各部局へ共有する体制の構築

学生調査を各部局のFD活動に活かす方策を議論す可視化部会を設置し、各部局の教育目標と学生調査のすり合わせを行う仕組みを構築しており、学生調査の結果を具体的に活用する体制が構築されていました。

 

・今抱えている検討事項

IR部門と現場の各部局との考え方の差異や、データだけで話をされても現場が見えていないと反感を買わないためにも、今まで以上に信頼関係を構築することが必要であることが挙げられていました。また、データ解析はIR部門の思惑だけではなく、現場のニーズに合わせた方法で行うため、解析等を行う際にどのように分析を行うかなどの設計の段階から現場の先生方に関わってもらうことでIRの意義を理解してもらうことも検討事項で挙げられていました。

 

大阪府立大学の事例からもわかるように、いかに現場の理解を得たIRを行えるか、また、いかに現場のニーズに立脚してIRを行うかが、IRを実質化していくための鍵となるといえるでしょう。

さて、次回は大阪大学の事例報告について触れていきたいと思います。

【2017.2.9】関西大学・大阪府立大学AP合同フォーラム②

標題のとおり、先日のフォーラムの内容、事例報告の一つ目、関西大学の事例を紹介します。

関西大学の事例の特徴としては、学校法人全体、学位レベル、各授業レベルごとに内部質保証を行うなど、重層化させている点が挙げられます。

関西大学の教学のIRに特化しておりますが、事例報告の中で、教学IRの特徴の紹介がありましたが、内部質保証の重層化を意識している点と教学IRを部局横断的に実施している点が主に挙げられていました。実際に紹介された内容は以下の通りです。

 

①マクロレベルの評価機能

②ミドルレベルの評価機能

③学部・部局との協働

④「考動力」を一貫して評価

⑤学生の「学ぶ」を支援する能動性

⑥教職協働型

 

まず、①と②の評価機能については、内部質保証の重層化を意識した取組であるといえます。関西大学の場合、法人レベルの自己・点検評価委員会と併設校を取りまとめた部門委員会、大学部門を取りまとめた委員会があり、これらの委員会のもとに、各併設校ごと、学部・研究科ごとの委員会が組織されており、重層化を意識した体制になっています。

次に、③と④の教学IRの推進体制としては、部局横断型のプロジェクト形式をとっていることや、学部の教学ニーズに沿った分析・展開を行う「ニーズドベースド型IR」を構築していことが特徴として挙げられます。このプロジェクト形式ですが、敢えてその人の専門性を生かす、つまり人につく形で部局を横断して人選がなされています。これは似て非なるものかもしれませんが、佐賀大学のIR室の体制に近いものがあるといえるのではないでしょうか(もっとも佐賀大学は経営的な観点からのIRも含んでいるので、その点については異なると言えます)。

ここからは、個人的な私論が中心となりますが、関西大学の「ニーズドベースド型IR」とはつまるところ、学部・研究科からのニーズや学部・研究科のニーズになりそうなことなどについて調査・分析を行うということが主な役割として挙げられます。この教学IRの形式というのは、大規模大学の中での理想的な教学IRの形ではないでしょうか。個人的にはIRはあくまで、手段であって目的ではないと考えていますので、関西大学の事例はその考えに近いものでしょう。まだ本格的な稼働からは時間が経過していないので、これから出てくる成果に注目していきたいと思います。

次回は事例報告の第二弾、大阪府立大学の事例を挙げていきます。

【2017.2.9】関西大学・大阪府立大学AP合同フォーラム①

一昨日(2017年2月9日)参加したフォーラムのことを少しずつまとめていきます。まとめ記事の第一弾として、本日は大阪大学の川嶋先生による基調講演について触れていきたいと思います。

 

1 基調講演(大阪大学 川嶋太津夫氏) 

【全体のまとめ】

 今後の高等教育の質保証は、第2期認証評価において行われていた大学として一定の水準を担保するアクレディテーション(適格認定)から、第3期認証評価以降に大学基準協会などの認証評価機関が目指す、大学内部の問題点や課題などを自助的に改善するPDCAサイクルを持った質保証システムが適切に機能しているかの評価を外部の評価機関が行う、オーディットに移行していくだろう。

 外見からは判断できない学習者の学習状況や達成度が学習目標とどれ程のギャップがあるかをアセスメントを通じて確認し、必要があれば教育課程を見直しを行うことが必要である。

 

講演内容を簡単にまとめると、以上の内容だったかと思います。自己点検・評価への関心が強いためか内部質保証の今後のあり方が頭に残ったこともあり、質保証システムやアセスメントの観点中心のまとめになりました。

 このような内部質保証システムを構築し、機能させるためには、教学IRなどを活用し、自助的に改善につなげていくことが、第3期認証評価や今後の大学には求められてくるのだと思います。これは、1991年の大学設置基準の大綱化後の文脈として続いてきた大学の自助努力による改善・改革するための体制を構築することが、25年経った今も大学内部の質保証システムの構築という形で脈々も続いている、とも言えるでしょう。

このシリーズの次回以降は各大学による事例報告の内容をまとめていきます。事例報告は「教学IR」がテーマとなっていますが、どういったIRが各大学で展開されているのでしょうか。まずは、関西大学の事例報告の内容を次回まとめていきたいと思います。

関西大学・大阪府立大学のAP合同フォーラムに参加しました。

お疲れさまです。今、帰りなのですが、標題フォーラムに参加してきました。

今回のフォーラムの内容のキーワードとしては以下のものが挙げられます。

 

・内部質保証

・3つの方針

・IR

 

業務的には内部質保証にピンとくるところなのですが、最近、問題認識として持っていたIRの事例の話がIRの機能種別の分類に関わる話だったので非常に興味深く事例報告を拝聴しておりました。今回のお話をトータルでまとめると、IRで出たデータの分析は、IR室で分析するのではなく、各部局で分析してもらえるように促すこと(ただ、データを渡すのではなく、向こうが興味を持つように工夫をして渡すことが大事)が大切であることがよくわかりました。

 

私論も含めて、今回のフォーラム内容について検討していきたいところですが、入試疲れと酔いがありまして、そこまでに至りませんので、こちらについてはまとまり次第、報告させていただきたいと思います。 

 

【本日参加のフォーラムのHP】

http://www.ap.osakafu-u.ac.jp/topics/0209forum/

ハテナソンから導き出すリサーチクエッション

2017年2月2日付読売新聞の記事で、京都産業大学の佐藤教授が考案した「ハテナソン」についての記事が掲載されていました。そこからふと思ったことが、タイトルにもあるように「ハテナソン」を繰り返し、それを徹底すると磨きに磨きをかけた研究に必要であるリサーチクエッションを導き出せるのではないかと、という考えでした。

そもそも「ハテナソン」とはなんでしょうか?

 

【2017年2月2日付読売新聞の記事より】 

「ハテナソン」とは…
京都産業大学佐藤賢一教授の造語。
・疑問を表す「はてな」と「マラソン」を組み合わせた。
・情報収集を行い、「開かれた」質問をたくさん出していく。
・意見や主張は疑問文に直す。
・「イエス」「ノー」で答えられる質問は深い説明を必要とする質問に変える。

 

京都産業大学の佐藤教授が開設されている「ハテナソン」のHP】

ha-te-na-thon.hatenablog.jp

 

このハテナソンで行われる以下の行為を繰り返すことがリサーチクエッションを導き出す過程で必要とされる事項でしょう。

 ①情報収集を行い、「開かれた」質問をたくさん出していく。

 ②「イエス」「ノー」で答えられる質問は深い説明を必要とする質問に変える。

 ③意見や主張は疑問文に直す。

 ④①から③を繰り返し、深めていく。

これだけの作業だけでは不足する点もあるのかもしれませんが、まずはこの視点を手順を重視して自らの研究につながるリサーチクエッション探しを行うことが研究の入口なのかもしれません。一度、「ハテナソン」とレポート・論文の書き方の本を比較検討して検証するか、実際にこの手法でリサーチクエッションを検討してもいいかもしれません(次の研究計画を検討中ですので…)。

 

※新聞記事を中心に「ハテナソン」の概要を掲載しておりますので、若干の解釈の誤りがあるかもしれませんので、その点ご留意いただければ幸いです。

「ユースエール」認定マークについて

最近の新聞記事で恥ずかしながら、初めて「ユースエール」認定マークというものがあることを知りました。以下は新聞記事からの引用のまとめです。

 

2017年1月31日日本経済新聞

【「ユースエール」認定マークの記事概要】

厚生労働省は2015年10月に若者の採用や育成に力を入れる中小企業を認定する「ユースエール認定制度」を始めた。
・残業が月平均20時間以下、有給休暇取得率が70%以上などの条件を満たせば認定企業になり。採用活動にも使える。

 

【「ユースエール」認定マークに関する厚生労働省の公式ページ】

https://wakamono-koyou-sokushin.mhlw.go.jp/search/service/top.action

 

なぜこの記事を取り上げたのかというと、まだ取得できていませんが、CDA資格や国家資格の標準レベルのキャリアコンサルタントを目指す者としては知ってても損はしない記事だと感じたためです。

 

今の社会では働き方が問われる時代になっており、学生へのキャリア支援をする中で学生へ提示できる情報の一つとして使えるものではないでしょうか。色んな働き方がある中で中小企業に目を向けるきっかけを作る政策だと個人的には考えます。詳しく調べきれてないので、少し深掘りして調査していきたいテーマだな思います。

 

久々の記事なので、若干のグダグダした文章であることについてはご容赦ください。

約2年ぶりの更新です。。。

ご無沙汰にご無沙汰を重ね、ご無沙汰しております。

再開することの勇気が必要&実名でやることの恐れがありましたが、ゆるりと再開することに決めました。

なお、こちらのブログは組織の見解ではなく、個人の見解になりますゆえ、その点はご了承いただければ幸いです。

高等教育関係の興味のあるトピックを中心に更新をして参ります。

改めまして今後ともよろしくお願いします!