【2017.2.9】関西大学・大阪府立大学AP合同フォーラム⑤
さて、このフォーラムシリーズ最後になりました。第五弾のパネルディスカッション編について記事をまとめていきたいと思います。パネリストは川嶋先生(大阪大学)、高橋先生(大阪府立大学)、安部先生(大阪大学)、森先生(関西大学・司会)です。
さて、最後としておりましたが、編集する中で意外にも文量が多くなりましたので、川嶋先生の発言と事例報告校の発言とを分けて掲載しようと思います。
基本的には、当日、講演及び事例報告後に紙で提出した質問票の内容に沿って話が進んでいきました。まず初めに基調講演された川嶋先生の質問に対する回答がありました。
速記録が中心なので信用ならない記述もあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。
【川嶋先生(大阪大学)】
・DPが「卒業認定・学位授与の方針」になった理由について
大学設置基準第32条では「卒業の要件は、大学に4年以上在学し、124単位以上を修得することとする」とあり、一方、学位規則第2条では、「大学が、当該大学を卒業にした者に対し行う」とあるため、「卒業認定」という表現が加わったと理解している。
・アセスメントの定義について
「習う」から「修める」にになることがアセスメントである。DPで定める学習は「習う」方の学習とし、学生が最終的に学ぶところに至って初めて「修める」へ変わる。
・3つの方針(ポリシー)を定める責任組織について
方針を定める責任組織は、学部・学科・専攻になることが多いが、教教分離している場合は、出向元が責任組織となる。
・教学IRについて
教学IRはさまざまな関係する教員がチームを作って機能をさせているため、組織よりは機能が優先される。
・新テストについて
入試に関しては高等学校時代の様々な経験を評価することになる。調査書が改訂され、今まで以上の情報量の調査書が提出され、新テストや英語の外部試験などから多面的に評価することが求められる。
・内部質保証の責任組織について
内部質保証の組織はどのようなものが望ましいか。それは、点検・評価する組織とDOを行う組織が必要である。しかし、内部質保証の責任組織を説明する際に、点検・評価委員会と教学委員会の2頭体制では説明が厳しい。そのため、そこに対応するために責任組織として内部質保証委員会等を立ち上げている大学が増えてきている。
以上がパネルディスカッションでの川嶋先生の発言になりますが、内部質保証の責任組織に関しては傾向として内部質保証のための委員会を立ち上げているとあります。これは大学基準協会の第3期機関別認証評価に向けた「大学基準の解説」のなかで、以下のように示されてることに起因すると考えられます。
【基準2 内部質保証】
「内部質保証に関わる学内の様々な取り組みが円滑に進むよう、大学は、その理念・目的等 に照らして、大学全体として内部質保証の推進に責任を負う組織を整備するとともに、内部質保証のための全学的な方針と手続を明示しなければならない」
この「内部質保証の推進に責任を負う組織」こそが、多くの大学で内部質保証に関わる委員会を立ち上げている理由なんですね。しかし、補助金を獲得するためにIR室を設置するのと同じ論理で、学内で内部質保証と自己点検の役割と違いが何かを明確にしないと委員会等を運営していくなかで混乱が生じる恐れがありますので、設置段階で役割を明確にすることは必要かもしれませんね。
さて、個人の見解を書きましたが、次回こそ、このフォーラムのシリーズの最終回になります。また、懲りずにご笑覧いただければ幸いです。